創業1998年 皆様に愛されるお店になりました。ありがとうございます。
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うどんについて

たまにですが、『うどん』に対する『こだわり』をお聞かせ下さい。とか、
すごく、こだわりを持たれて仕事をされてるんですねえ。とか、 云っていただいたり、
聞かれたりする事があります。

『拘り、こだわり』と尋ねられると、いつも気の利いた答えが返せません。

『こだわりは特にないですよ、特別な事していませんよ』
程度の事しか返していません。

誤解があるといけませんので、せっかくなんで自分の真意を書き留めたいと思います。


私はうどん店を営んでいます。
美味しいと言ってもらえるうどんを作るのが私の仕事だと思っています。
又、お客様にはお金を払って頂いて、我々はそのお金で何とか生活をさせてもらっています。
お金を頂戴している以上、プロ意識を持ってやらなければいけないと思っています

私がこの世界に入ったとき、
一人の先輩がアルバイトの私にうどんの打ち方を教える際に、 最初にこう言われました。

『うどんて云うのは、な、小麦粉と塩と水でつくるねん、
作ろうと思えば誰にでも作れる物やねん。
よお聞いといてくれよ、
誰にでも作れるけど同じ材料を使っても、打つ人間が変わればうどんも変わりよるんやで
うどんを覚えようとするんやったら頭の隅っこにでもこの言葉、覚えておいてくれ』と。

教えて頂いた言葉が・・・“たかが、うどん、 されど、うどん” と云う言葉でした。

この言葉、大好きな言葉です。

私のお店は、最寄り駅から少し歩かなければいけません。
又、住宅地で表通りから少し入ったところに在り、車で走っていると見落としそうな処にあります。
この場所でお店を構えようと決めた時、こんな事を思いました。

本当にうどん好きな方なら探してでも来てくれるはずや、但し、悪いうどんをお出ししたら二度と来てもらえない場所だなと・・・

初めて印刷されたばかりの『おしながき』にこんな事を妻に手書きで書き足してもらいました。

『うどんが一番、おいしいのは“釜からゆであがった直後”の うどんだと思います。
当店では出来るだけそんなうどんをお客様に召し上がっていただきたく、釜から ゆで上がって30分以上経ったうどんは使用しておりません。
出来たての“うどん”をご賞味くださいませ。』


これはお客様と私の、私が勝手に決めたオープン時の約束事です。

今、現在のメニューにも継続して記載させて頂いています。

たくさん有る、お店の中からうちを選んで頂けた、わざわざ、足を運んで頂けた・・
そんな、お客様に美味しいうどんを召しあがっていただきたい・・・

お待ちいただいても出来立てのうどんを食していただきたいと思っています。

喜んで頂けた顔を見たり、ありがたいお言葉を頂戴すると素直に嬉しく思います。
又、この仕事をしててあらためて良かったと思える瞬間です。

私はうどんを作るのが大好きです。

“たかが、うどん、 されど、うどん”

長く、この世界にいますが、うどんを極めたなんて、これっぽっちも思っていません。

かた苦しい文章になったかと思いますが、うどん以外の事はなんでも中途半端な不器用な男です。
ですが、これから先もうどんと向き合っていきたいと思っています。

自分のライフワークと思い、やっていきたいと思っています。

2010年 三月吉日 うどん 蔵十
 木下宏信